消費者金融の「総量規制」ってどういう制度?
平成22年6月から施行された、改正貸金業法で、新しく導入された制度が「総量規制」です。これ以前は、消費者金融の利用者の返済能力の審査は、実質的に自己申告で済まされていました。これが、改正されて、新制度の下では収入の証明や、勤務先の在籍確認などの審査が求められるようになったのです。その結果、利用者の受けられる貸付は、実際に、実態のある会社で働いている勤務実績があり、安定収入があり、かつ、年収の1/3までの貸付を限度とする借り入れが受けられる、という形に大きく変化しました。
以前の簡易的な審査では、うそをついて貸付を受けても、消費者金融側は把握することができず、多重債務に陥ったり、悪質な踏み倒しを行うものが出るなど、利用者、貸金業者双方に、不利益やリスクが高い弱点がありました。これらを見直して、多重債務に陥る危険を減らし、また、貸金業者の健全な企業運営をはかる、という意味では、有意義な改正がされた、と見るべきでしょう。法改正によって、審査が厳しくなり、以前なら簡単に借り入れができた人でも、借りられなくなった、という点はありますが、一方で無理な貸付で債務超過に陥って自己破産などの破綻に陥る危険は少なくなった、という点も見逃せません。
総量規制によって、信用保証協会への情報登録も義務付けられました。過去の融資など取引情報を信用保証協会に登録することで、過剰な債務を負うリスクを軽減させると共に、返済能力や、過去の返済実績に思わしくない記録がある人には、貸付を行わない、という処置が行われるようになっています。
こうした利点がある一方で、かりたくても借りられない人が、「ソフト闇金」などと呼ばれる、無認可の貸金業者へ流れる傾向があり、これも問題となっています。闇金の場合は、そもそも、か資金業者ではありませんから、法律規制などに一切、関与しません。大手貸金業者や銀行から借り入れができない利用者の弱みを分かっていて、違法、不法な貸付で、高い金利をとっているケースが少なくなりません。このような業者からの借り入れは、不当に高い利息を払い続ける結果につながります。このような業者から借り入れることは、長期に渡る「借金地獄」を招く原因になりますから、絶対に避けるべきでしょう。